夏の風習として古くから実践されている暑気払い。暑い夏を乗り切るための対策の一つですが、本記事では暑気払いの食べ物にフォーカスします。
暑気払いのポイントとともに、おすすめな食べ物をご紹介しますので、これから暑気払いのイベントを企画される方はお店選びの参考にしてください。
また、ご家庭で暑気払いの料理を作られる方はメニューのヒントにしてくださいね。
暑気払いにオススメな食べ物とは
暑気払いには「暑さ」と「暑さによる疲れ」を払う目的がありますので、これらの「暑気」を払える食べ物がオススメです。
- 体の熱を冷ますもの
- スタミナのつくもの
- 食欲をアップさせるもの
- 涼やかさを楽しむもの
それぞれのポイントについて解説します。
体の熱を冷ますもの
夏の体にこもった熱を冷ます食べ物で体をクールダウンさせるのは暑気払いの基本。冷たい食べ物はもちろん、体を冷やす働きのある食べ物で体の内側から暑気を払いましょう。ただし、暑いからといって体を冷やしてばかりでは体調を崩しますので、食べ過ぎにはご注意ください。
スタミナのつくもの
夏は暑さや寝不足などにより体力が低下しやすい季節。夏特有の疲労を払うのも暑気払いのポイントです。スタミナのつく食べ物で体力をつけ、しっかりと疲労回復させましょう。
食欲を増進させるもの
夏バテすると食欲も落ちますから、暑気払いの食べ物で食欲を増進させて活力を維持しましょう。いつもの食事を調味料や調理法でのアレンジで食欲増進メニューにするのも可能。ただし、食べ過ぎると胃腸に負担をかけますから、程よいボリュームを心がけてください。
涼やかさを楽しむもの
暑さを見た目や食感で払うのも暑気払いのポイント。涼やかさが楽しめる食べ物で夏を風流に過ごしましょう。ひんやり感や透明感、瑞々しさのある食べ物がおすすめです。
暑気払いにオススメ!体の熱を冷ます食べ物
ここでは、夏の暑さで体にたまった熱を冷ます暑気払いの食べ物を紹介します。
夏野菜
夏野菜には体の熱を冷ましてくれる食材が豊富にあります。「体の熱を冷ます」というのは薬膳や東洋医学における考え方によるものですが、野菜の中で「涼性」「寒性」に分類されるものが該当します。
夏野菜の種類としては、スイカ、キュウリ、トマト、ナス、ズッキーニ、ゴーヤなど。冷たくして食べる方がおいしいものもありますが、食材によっては冷やす作用を弱めるために加熱してから食べてもよいでしょう。
~夏野菜を使ったメニュー例~
- 酢の物(キュウリ、ズッキーニなど)
- 夏野菜のラタトゥイユ(煮込み料理)
- トマトのガスパチョ(冷製スープ)
- スイカのスムージー
- ゴーヤチャンプルー
果物
薬膳や東洋医学における考え方で「涼性」「寒性」に分類される果物は、バナナ、キウイ、パイナップル、マンゴー、メロンなど。暑い国が原産のものや、暑い時期に収穫されるものには「体を冷やす」とされる果物がたくさんあります。
そのまま食べてもおいしい果物ですが、冷たくして喉ごしや爽快感を楽しむのもおすすめ。食後のデザートや間食として手軽に食べやすいのも魅力です。
~果物を使ったメニュー例~
- スムージー
- フルーツポンチ
- ゼリー
- ジェラート
- サラダ
かき氷
かき氷は暑気払いを代表する食べ物です。食べると瞬時に体が冷えてシャキッとします。
お店でも購入できますが、かき氷機があれば簡単に作れるので、ご家庭での暑気払いにもぴったり。暑気払いのイベントを開催する場合は専用ブースで提供してみてはどうでしょうか。
~かき氷の楽しみ方~
- お好みのシロップを用意する。
- フルーツソースで贅沢にする。
- 果物や練乳を使ってアレンジする。
- ワインやリキュールで大人っぽくする。
- 凍らせたジュースをかき氷にする。
暑気払いにオススメ!スタミナのつく食べ物
ここでは、夏の暑さで疲れた体を元気にする暑気払いの食べ物を紹介します。
うなぎ
うなぎは古くから「土用の丑の日」に食べられていました。もともとは夏に売れないうなぎを宣伝するための工夫がきっかけとされています。
梅雨明けから夏本番を迎えるまでの時期は体調を崩しやすいため、栄養価の高いうなぎを食べて「精をつけよう」というのが現代の習慣です。
~スタミナのポイント~
- 疲労回復に効果のあるビタミンB1が豊富。
- 蒲焼の香ばしさが食欲を増進させる。
焼き肉
焼き肉で暑気払いを楽しむのも夏の飲み会では定番です。夏においしいビールとの相性が抜群なのも人気の理由ではないでしょうか。
お店で本格的に味わうほか、ご家庭やアウトドアでバーベキュースタイルにして堪能するなど、楽しみ方もさまざまです。
~スタミナのポイント~
- 牛肉には疲労回復効果のあるビタミンB6が豊富に含まれている。
- ヒレやモモといった赤身肉はアミノ酸も豊富で疲労回復におすすめ。
- 香ばしさや香味野菜を使ったタレが食欲を増進させる。
ジンギスカン鍋
低カロリーで高タンパクなラムやマトンといった羊肉は食のトレンドですが、暑気払いの食べ物としてもぴったり。ジンギスカン鍋なら栄養豊富な野菜もたっぷり食べられます。
お店で味わうなら専門店を予約しましょう。ご家庭で楽しむなら大手スーパーやネット通販で購入できます。
~スタミナのポイント~
- 羊肉には疲労回復効果のあるカルニチンやビタミンB6が豊富に含まれている。
- ニラ、ニンニク、タマネギ、ピーマンなど栄養価の高い野菜を一緒に食べられる。
- 香ばしさや香味野菜を使ったタレが食欲を増進させる。
レバニラ炒め
町中華の定番であるレバニラ炒めは夏バテ予防のメニューとしても人気です。もちろんビールとの相性も抜群。
お店での飲み会でオーダーしたり、ご家庭での夕飯メニューに加えたりして手軽においしく暑気払いしましょう。
~スタミナのポイント~
- レバーには疲労回復効果のあるビタミンB群が豊富に含まれている。
- レバーには貧血を予防する鉄分やビタミンAが豊富に含まれている。
- ニラにはβカロテン、ビタミンE 、アリシン、葉酸など夏バテ予防の栄養が含まれている。
- レバーは鶏、牛、豚の中から好みのものを選んで食べられる。
豚のしょうが焼き
お昼の定食メニューとしても人気な豚のしょうが焼き。ご家庭でも簡単に作れるので手軽な暑気払いにいかがでしょうか。甘辛い味付けで食べやすく、ごはんのおかずにもビールのお供にもぴったりです。
~スタミナのポイント~
- 豚肉には疲労回復効果のあるビタミンB群が豊富に含まれている。
- ショウガには疲労回復効果のあるビタミンB1が豊富に含まれている。
- タマネギや長ネギなどを加えると栄養価がアップする。
- 香ばしさや甘辛い味付けが食欲を増進させる。
暑気払いにオススメ!食欲を増進させる食べ物
ここでは、夏の暑さで低下しがちな食欲を増進させる暑気払いの食べ物を紹介します。
冷麺
さっぱり食べられるのに栄養満点なのが冷麺。お酢を使った爽やかな味付けが食欲を増進させます。お店での飲み会では〆の一品として、ご家庭では昼食や夕食のメニューとして暑気払いの一皿にどうぞ。
~食欲増進のポイント~
- 酸味のある味付けで食がすすむ。
- 夏野菜をたっぷり加えると彩りがよくなる。
- 中華麺や盛岡冷麺などお好みの麺でおいしく。
- レモンや梅干しを添えると疲労回復にも効果的。
- 涼やかな器に盛り付けて見た目にも風流にする。
冷しゃぶ
ごはんがすすむ夏の定番メニューとして人気なのが冷しゃぶ。野菜もたっぷりとれてサラダ感覚で食べられます。
お酢を効かせたドレッシングやごまだれ、ポン酢など、好みの味付けでアレンジできるので家庭での暑気払いにもぴったりです。
~食欲増進のポイント~
- 酸味のある味付けで食がすすむ。
- 豚肉に含まれるビタミンB群で疲労回復にもアプローチ。
- 夏野菜を加えて彩り豊かな見た目やひんやり感も楽しむ。
- アマニ油やオリーブオイルを加えると栄養価もアップする。
- 涼やかな器に盛り付けて見た目にも風流にする。
カレー
カレーはシーズンを問わず食べられている定番メニューですが、実は暑気払いの食べ物としてもおすすめ。カレーに使われる香辛料や香味野菜が味覚と嗅覚を刺激して食欲を増進させます。
お店ではスープカレーやスパイスカレーなど好みのスタイルが選べますし、ご家庭では好みの具材でオリジナリティが出せるのも魅力です。
~食欲増進のポイント~
- スパイシーな香りが食欲をそそる。
- 香味野菜の奥深い味わいで食がすすむ。
- 甘口から辛口まで自分好みのテイストが楽しめる。
- カツを加えると栄養もボリュームも満点。
- パスタやドリア、リゾットなど幅広いジャンルで食べられる。
キムチ鍋
冬の定番メニューとして人気のキムチ鍋ですが、暑気払いにふさわしい利点がたくさん。熱々の鍋が夏の冷房で冷えた体を内側から温め、栄養豊富な具材が夏バテによる疲労を回復させます。
韓国料理店や焼肉店などでの飲み会でオーダーしたり、ご家庭での鍋パーティーを企画したり、お好みのスタイルでグルメな暑気払いを楽しみましょう。
~食欲増進のポイント~
- スパイシーな香りが食欲をそそる。
- 香味野菜のうまみや甘みで食がすすむ。
- 発酵食品のパワーで疲労回復にも効果。
- 豚肉や豆腐を加えると栄養価がアップする。
- ごはんや麺を〆に投入するとボリューム満点。
暑気払いにオススメ!涼やかさを楽しむ食べ物
ここでは、夏の暑さを忘れさせる涼やかな暑気払いの食べ物を紹介します。
わらび餅
わらび餅は夏に人気の和スイーツ。瑞々しくて透明感があり、もちもちとした食感、ほんのりと感じる優しい甘さが特徴です。
~おいしく味わうポイント~
- きなこをかけて香ばしく。
- 黒みつをかけて味わい深く。
- 抹茶をかけて風味豊かに。
- 小豆を加えてあんみつ風に。
- 小さく刻んで好みのドリンクと一緒に。
水無月
水無月は京都の伝統和菓子。かつて宮中で暑気払いとして食されていた「氷」がモチーフの三角形が特徴的です。
透明感のある外郎(ういろう)生地の上に小豆をのせた素朴な味わいも楽しめます。デパートやネット通販などでの購入が可能です。
~おいしく味わうポイント~
- 抹茶や煎茶など好みのお茶を合わせて風流に。
- 葛、生麩、ごま豆腐など別の生地もお好みで。
- 黒糖、抹茶など別のフレーバーもお好みで。
そうめん
そうめんは、つるつるとした食感で喉ごしもよく、夏の定番として食べられています。ひんやり冷たくして食べるのはもちろん、盛り付けを工夫すると見た目にも涼やかで暑気払いにぴったりです。
~おいしく味わうポイント~
- ネギ、ショウガ、ミョウガなどの薬味を添える。
- 刻み野菜や錦糸卵を加えて栄養価をアップする。
- 色付きそうめんを少し足してカラフルにする。
- 涼やかな器に盛り付けて見た目にも風流にする。
まとめ
暑気払いの食べ物で「暑さ」と「暑さによる疲れ」を払いましょう。おすすめの食べ物には以下のようなものがあります。
- 体の熱を冷ますもの。
- スタミナのつくもの。
- 食欲をアップさせるもの。
- 涼やかさを楽しむもの。
その日の気分や天候、体調などに合わせて選ぶのも暑気払いのポイント。さらに冷たいドリンクとのペアリングも楽しんではどうでしょうか。
本記事で紹介したオススメの食べ物を参考に、ぜひ、お店の予約やご家庭での献立に役立ててくださいね。