創立記念や周年記念の式典で挨拶をするなら、お祝いの場にふさわしいスピーチを披露したいですよね。

とはいえ「どのような内容にしようか」と言葉選びや構成に悩んでしまうのも事実。

本記事では、主催者でも来賓でもスピーチがまとまるよう、挨拶の場面ごとに基本構成と例文を紹介します。

ぜひ、本記事を活用して創立記念・周年記念に花を添えられる晴れやかなスピーチを考えてください。

式典の挨拶はいつ?流れとタイミングを確認しよう

創立記念・周年記念での挨拶を、どのタイミングで行うのか一般的な式典の流れから確認しておきましょう。

  1. 開会の挨拶
  2. 主催者の挨拶
  3. 乾杯の挨拶(祝賀会も兼ねる場合)
  4. 来賓の挨拶
  5. 祝電の披露
  6. 来賓の紹介
  7. 中締めの挨拶
  8. 閉会の挨拶

開会の挨拶と閉会の挨拶は司会者が行います。主催者や来賓を代表しての挨拶は「主催者の挨拶」「乾杯の挨拶」「来賓の祝辞」「中締めの挨拶」です。

~対象者の例~

  • 主催者の挨拶……会社の社長、代表者
  • 乾杯の挨拶……来賓の代表者(社内のみの場合は主催者)
  • 来賓の祝辞……来賓の代表者
  • 中締めの挨拶……主催会社の社長・代表者の次の立場

立場や挨拶のテーマによってスピーチの内容が異なりますので、ここからは基本構成や例文を参考にポイントを押さえていきましょう。

司会者の挨拶については進行マニュアルとして詳しく書かれた記事がありますので、よければ合わせてお読みください。

創立記念・周年記念式典の挨拶に使えるスピーチ例文

ここでは、創立記念・周年記念式典の挨拶に使えるスピーチ例文として「主催者の挨拶」「乾杯の挨拶」「来賓の祝辞」「中締めの挨拶」にわけて基本構成とともに紹介します。

主催者の挨拶

~基本構成~

  1. 式典の出席への感謝
  2. 来賓への日頃の感謝
  3. 創立記念・周年記念を迎える報告とお礼
  4. 今後の付き合いのお願いと抱負
  5. 締めの言葉

本日はお忙しい中、私ども株式会社○○の創立三十周年の記念式典にご臨席いただきまして、まことにありがたく、厚くお礼申しあげます。ご来賓の皆様には、平素より多岐にわたるご支援をたまわり、重ねてお礼申し上げます。

創立以来の三十年間を振り返ってみますれば、紆余曲折、さまざまなことがありました。
日本経済が低迷期に突入した中で設立した会社でございましたので事業を軌道に乗せるのは簡単ではありませんでしたが、ひとえに、○○(自社の製品、サービス、事業内容など)で世の中に貢献したいという思いから社内一丸となってここまで事業を継続してまいりました。

そして本日、創立三十周年の節目に、このような場を設けることができましたのも、ご来賓の皆様のご支援あってのことと、あらためて皆様のご厚情に深く感謝申し上げるしだいでございます。

三十年という年月を人間の歳で考えますと、ようやく社会人としての基礎が築ける頃。人並みに仕事ができるようになり、そろそろ家庭を持って身を固めようかというような、いわば「働き盛り」の年齢です。

まさに本日、わが社は三十歳の誕生日を迎えたわけでございますが、「働き盛り」の企業として、ますます粉骨砕身しながら、さらなる飛躍に向けて社業に邁進したく存じます。また、改めて初心に戻り、「次の三十年」を目指して、たゆまぬ精進を積み重ねてまいる所存ですので、皆様にはいっそうのご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます。

最後に、皆様のご健勝とご発展を祈念するとともに、今後とも変わらぬご支援のほどお願い申し上げ、私からの挨拶といたします。

ありがとうございました。

~ポイント~

  • 会社創業以来の歴史を振り返り、象徴的な出来事を紹介しながら会社の歩を述べる。
  • 社史や年鑑、過去の新聞記事などから創立当時のことを拾い出して具体的に語る。
  • 単なる思い出話に終始せず、会社の代表者としての信条や今後のビジョンについても語る。
  • 創立○周年を新たなスタートとし、次の○年への決意や展望を未来志向で語る。
  • 創業○周年を、人間の年齢にたとえながら自社の現在地や現状を語ると聞き手に伝わりやすい。

乾杯の挨拶

~基本構成~

  1. 式典への招待に向けた感謝
  2. 創立記念・周年記念への祝意や敬意
  3. 活躍への祈念、今後も変わらぬ関係性
  4. 締めの言葉
  5. 乾杯の音頭

ただいまご紹介にあずかりました○○株式会社 ○○○○と申します。
僭越ではございますが、乾杯の発声をうけたまわりました。

このたびは創立三十周年、まことにおめでとうございます。
また、本日は、このように盛大な場にご招待いただきまして、ありがとうございます。

本日、この慶賀の節目を迎えられましたことは、○○社長をはじめ、社員の皆様のたゆまぬ研鑽のたまものと、心より敬意を表すしだいでございます。どのようなときでも可能思考で挑戦をつづける御社の、さらなる発展を衷心より願っております。

弊社においても○○商会様とのご縁を大切にし、今後も○○商会様とともに企業としての年輪を積み重ねてまいる所存です。

それでは、乾杯の発声をさせていただきます。
○○商会様の創業三十年を祝し、ますますのご繁栄と、ご臨席の皆様のご健勝を祈念いたしまして、乾杯!

ありがとうございました。

~ポイント~

  • 創立記念・周年記念を迎えた企業への祝意や敬意を中心に述べる。
  • 長々と話さず1~2分でまとめて乾杯に移る。
  • 最後は元気よく乾杯の音頭で締めくくる。

※社内のみの開催の場合は「主催者の挨拶」の構成や例文を参考に乾杯の発声をしましょう。

来賓の挨拶

~基本構成~

  1. 式典への招待に向けた感謝
  2. 日頃の感謝
  3. 創立記念・周年記念への祝意や敬意
  4. 活躍への祈念、今後も変わらぬ関係性
  5. 締めの言葉

ただいまご指名にあずかりました、○○株式会社 ○○を務めております、○○○○でございます。
本日は、このような喜ばしい場にお招きいただきまして、厚くお礼申し上げます。

本日は、創立三十周年を迎えられ、まことにおめでとうございます。
本日、この晴れやかな節目を迎えられましたことは、ひとえに○○社長をはじめ、社員皆様方のたゆまぬご努力の成果とお慶び申し上げます。

僭越ではございますが、創業以来のお付き合いをさせていただいておりますものの一人といたしまして、ひとこと述べさせていただきたく存じます。

経済低迷期の中にご創立された御社は、常に創意工夫で研鑽を積まれ、未来を見据えながら鋭い先見性と盤石の経営体制で波乱の時代を切り開いてこられました。企業にとっての三十年は非常に大きな節目ではございますが、常に未来志向で挑戦される御社の企業姿勢に触れると、この先の三十年を思い描いたとしても、さらなる飛躍や可能性が鮮明に拝察されます。

これからも、これまで以上のご努力を重ねられ、社内一丸となってご活躍なさることでしょう。わが社も御社を手本にいっそう精進してまいりますので、今後も変わらぬお付き合いをお願い申し上げます。

○○商会様のますますのご繁栄と、ご臨席の皆様のご健勝を祈念いたしまして、お祝いの言葉とさせていただきます。
ありがとうございました。

~ポイント~

  • 創立記念・周年記念を迎えた企業への祝意や敬意を中心に述べる。
  • 創立記念・周年記念を迎えた企業の歩や企業姿勢を具体的に語る。
  • スピーチは2~3分にまとめて披露する。

中締めの挨拶

~基本構成~

  1. 式典の出席への感謝
  2. 式典を振り返っての率直な気持ち
  3. 創立記念・周年記念を迎えての思い、来賓への感謝
  4. 今後の付き合いのお願いと抱負
  5. 締めの言葉

本日は当社創業三十周年記念式典にご来駕たまわり、まことにありがとうございます。
これだけ多くのお客様、ご来賓の方々に支えられ、この喜ばしい記念の日を迎えられましたこと、あらためて心より御礼を申し上げます。

バブル崩壊後の日本経済は低迷の一途をたどるばかりで、この数年間は混迷する世界情勢や物価高騰も相まって厳しい状況でございます。しかしながら、どのような苦境であっても、時代の変化にあらがうことなく、常に「何ができるのか」「何をすべきなのか」を自社の存在意義に照らし模索することこそ企業の責任であると考えております。

先日、長野県で事業を営まれている食品会社様の「年輪経営」という企業理念に触れ感銘を受けました。大木が年輪を刻むがごとく、企業が永続的に安定成長することをめざすという哲学のようなものです。やはり、創立した会社を永続的に存続、成長させるというのは自社の繁栄のためだけではなく、自社のため尽力してくれている社員、お取引様、ひいては社会全体のためになるのだという企業としての存在価値に気づかせてもらえました。

これからの三十年に思いをはせらせますと希望ばかりではないだろうと身も引き締まりますが、これまでの三十年の軌跡を糧にして、社内一丸となりながら当社においても「年輪経営」を手本にし、いっそう努力を重ねる所存です。

今後も皆様には、倍旧のご教導をたまわりますことをお願いし、私のご挨拶といたします。
本日はまことにありがとうございました。

それでは、株式会社○○のますますの発展と、ご臨席の皆様のご健勝を祈念いたしまして、「○本締め」を行いたいと思います。
皆様、どうぞご起立ください。

(全員の準備がととのったのを確認)
よろしいでしょうか、それではお手を拝借。よぉ~っ!

~ポイント~

  • 会社創業以来の歴史を振り返り、象徴的な出来事を紹介しながら会社の歩を述べる。
  • 社史や年鑑、過去の新聞記事などから創立当時のことを拾い出して具体的に語る。
  • 単なる思い出話に終始せず、会社の代表者としての信条や今後のビジョンについても語る。
  • 創立○周年を新たなスタートとし、次の○年への決意や展望を未来志向で語る。
  • 四字熟語や他者の経営哲学などを例に挙げながら節目にふさわしい思いを語る。

手締めで締めくくる場合は、どの締め方で行うかの確認もしておきましょう。

~手締め~

●1丁締め……よぉ~っ。パン。
●1本締め……よぉ~っ。パパパン・パパパン・パパパンパン。
●3本締め……よぉ~っ。パパパン・パパパン・パパパンパン(2回)、もう1丁orもう1本、パパパン・パパパン・パパパンパン。

まとめ

創立記念・周年記念の式典で挨拶をするなら、立場に応じたふさわしい内容で臨みましょう。

主催者に求められるのは「式典の出席への感謝」「来賓への日頃の感謝」「創立記念・周年記念を迎える報告とお礼」「今後の付き合いのお願いと抱負」です。来賓には「式典への招待に向けた感謝」「主催企業への日頃の感謝」「創立記念・周年記念への祝意や敬意」「主催企業の活躍への祈念」が求められます。

ぜひ、本記事で紹介した基本構成やスピーチ例文を参考に、記念すべき式典で晴れ晴れしい挨拶を披露してください。