「壮行会で挨拶を頼まれたけど、何を話せばいいんだろう」
「ありきたりな言葉じゃなく、心に残るスピーチをしたい」
壮行会の挨拶は、新天地へ旅立つ人を励まし、エールを送る大切な場面です。だからこそ、何を話せばいいか迷ってしまうのは当然のこと。
送る側なら「感謝と応援の気持ちをどう表現すればいいか」、送られる側なら「謙虚さと決意をどうバランスよく伝えるか」。
立場によって伝えるべき内容は変わりますし、長すぎず短すぎず、堅苦しくなく、でも軽すぎない、ちょうどいいトーンを見つけるのも難しいものです。
でも、安心してください。壮行会の挨拶には押さえるべき基本構成と、心に響くコツがあります。
このポイントさえ理解していれば、緊張していても相手の心に届く言葉を紡ぐことができます。
この記事では、送る側・送られる側それぞれの立場別に、壮行会の挨拶の作り方を例文付きで詳しく解説します。
壮行会の挨拶で押さえるべき基本構成

壮行会の挨拶は、フォーマルな送別会ほど堅苦しくなく、カジュアルな飲み会ほど砕けすぎない、ちょうど良いバランスが大切です。
挨拶の長さは2〜3分程度が適切で、長すぎると場が重くなり、短すぎると心がこもっていない印象になります。
明るく前向きなトーンを保ちながらも、別れを惜しむ気持ちも自然に表現することで、温かい雰囲気の壮行会になります。
【送る側】上司・先輩の挨拶構成
導入:集まった目的を明確に(30秒)
「本日は、○○さんの△△への赴任(または転勤、留学、プロジェクト参加など)を祝して、皆さんにお集まりいただきました」と、壮行会の目的を明確に伝えます。
カジュアルな雰囲気でも、最初に趣旨を述べることで場が引き締まります。
本人の功績と人柄を称える(1〜2分)
これまでの活躍や貢献を具体的に振り返ります。
「○○プロジェクトでは、リーダーとして見事にチームをまとめてくれました」「いつも前向きで、周りを明るくしてくれる存在でした」など、具体的なエピソードを交えることで、本人への評価が伝わります。
抽象的な褒め言葉より、実際の仕事ぶりに触れる方が説得力があります。
新天地での活躍を期待する(1分)
「あなたの能力なら、新しい環境でも必ず活躍できると信じています」「これまで培った経験を存分に発揮してください」と、前向きな期待を伝えます。
プレッシャーにならないよう、「楽しんできてください」「新しい経験を糧にしてください」といった励ましの言葉も添えましょう。
エールと締めの言葉(30秒)
「○○さんの新しい挑戦を、私たち一同、心から応援しています」「いつでも連絡してください。私たちはここで待っています」と、温かいエールを送ります。
最後に乾杯の音頭を取る場合は、「それでは、○○さんの益々のご活躍を祈念して、乾杯!」と明るく締めくくりましょう。
【送られる側】本人の挨拶構成
感謝の言葉から始める(30秒)
「本日は、このような壮行会を開いていただき、本当にありがとうございます」と、まずは感謝を伝えます。
忙しい中、時間を作って集まってくれたことへの感謝の気持ちを素直に表現しましょう。
これまでの思い出を振り返る(1〜2分)
今の職場や環境で学んだこと、印象に残っているエピソード、お世話になった人への感謝を述べます。
「○○さんには、入社当時から丁寧に指導していただきました」「△△プロジェクトでの経験は、一生の財産です」など、具体的な名前やエピソードを出すことで、聞いている人の心にも響きます。
新しい挑戦への決意を語る(1分)
「新しい環境では、これまで学んだことを活かして精一杯頑張ります」「不安もありますが、新しいことを吸収できる良い機会だと前向きに捉えています」と、今の気持ちを正直に伝えます。
完璧な決意表明より、率直な思いの方が共感を得られます。
つながりを大切にする言葉で締める(30秒)
「離れていても、皆さんとのご縁を大切にしたいと思います」「またお会いできる日を楽しみにしています」と、関係が途切れるわけではないことを伝えます。
最後に「本当にありがとうございました」と深々と一礼して締めくくりましょう。
【送る側】感謝と応援が伝わるスピーチ例文

壮行会で送る側として挨拶する際は、これまでの感謝と新天地での活躍への期待をバランスよく伝えることが大切です。
ここでは、立場やシーン別に、すぐに使えるスピーチ例文をご紹介します。
上司から部下へ(海外赴任)
「本日は、佐藤さんのシンガポール赴任を祝して、皆さんにお集まりいただきました。まずは、お忙しい中ご参加いただき、ありがとうございます。
佐藤さん、あなたが当部署に配属されてから5年、本当によく頑張ってくれました。特に印象に残っているのは、昨年の○○プロジェクトです。困難な局面でも決して諦めず、チームを鼓舞しながら最後までやり遂げた姿勢は、周囲の大きな励みになりました。
また、後輩の指導にも熱心で、新人が困っているとすぐに手を差し伸べる姿を何度も見てきました。あなたのような存在がいなくなるのは、正直、大きな痛手です。
しかし、海外での経験は、あなたのキャリアにとって必ずプラスになります。異文化の中で、新しい視点やスキルを身につけ、さらに大きく成長してください。あなたの能力と人柄なら、現地でも必ず信頼される存在になると確信しています。
困ったことがあれば、いつでも連絡してください。時差はありますが、いつでも相談に乗ります。そして、一時帰国の際は、ぜひ土産話を聞かせてください。
それでは、佐藤さんの新天地でのご活躍と、ご家族の皆様のご健康を祈念して、乾杯!」
先輩から後輩へ(転勤・異動)
「田中君、大阪支社への異動おめでとう!そして、今日はお疲れ様でした。
君が東京本社に配属されてから3年、本当にあっという間だったね。最初は緊張してガチガチだった君が、今では立派に一人前の営業マンになって、感慨深いものがあります。
特に印象に残っているのは、初めて大型契約を取ってきた時のこと。あの時の嬉しそうな顔は今でも覚えています。そこから自信をつけて、どんどん成長していく姿を見られて、先輩として誇らしかったです。
大阪支社は関西エリアの中核拠点で、責任も大きいけれど、やりがいのある場所です。東京で培った経験を活かして、思い切り活躍してください。君なら絶対にやれる。
もちろん、困ったことがあればいつでも連絡してよ。出張で大阪に行く時は、必ず連絡するから、また一杯やりましょう。
それでは、田中君の新天地でのご活躍を願って、乾杯!」
同僚から同僚へ(留学)
「山田さん、MBA留学おめでとうございます!そして、お疲れ様でした。
仕事をしながら受験勉強を続けるのは、本当に大変だったと思います。同じチームで働いてきた僕たちは、あなたの頑張りをずっと見てきました。深夜まで残業した後に勉強している姿を見て、『すごいな』といつも思っていました。
一緒にプロジェクトを進めてきた2年間、あなたの論理的な思考力と、粘り強さには何度も助けられました。特に○○案件では、あなたの分析がなければ成功しなかったと思います。
アメリカでの2年間、きっと大変なこともあると思いますが、あなたならきっと乗り越えて、さらにパワーアップして帰ってくると信じています。新しい知識やネットワークをたくさん持ち帰ってきてください。
帰国したら、また一緒に働けることを楽しみにしています。時々、メールやSNSで近況報告してくださいね。
それでは、山田さんの留学生活の成功を祈って、乾杯!」
経営者から社員へ(独立・起業)
「本日は、鈴木さんの独立を祝して、お集まりいただきました。
鈴木さん、あなたが当社に入社してから8年、営業部門のエースとして、会社の成長を支えてくれました。数々の大型案件を成功させ、後輩の育成にも尽力してくれたこと、経営者として心から感謝しています。
独立を決意したと聞いた時、正直、寂しさもありました。しかし、あなたの『こういう事業をやりたい』という熱い思いを聞いて、応援するしかないと思いました。会社員として働きながら、常に新しいことを考え、挑戦し続ける姿勢は、本当に素晴らしいものでした。
起業は、想像以上に厳しい道のりだと思います。私自身も創業時には何度も壁にぶつかりました。でも、あなたの情熱と能力、そして何より人柄があれば、必ず成功すると信じています。
当社とは、これからはビジネスパートナーとして、良い関係を続けていければ嬉しいです。困った時は遠慮なく相談してください。いつでも力になります。
それでは、鈴木さんの新しい挑戦の成功を祈念して、乾杯!」
スピーチのコツ
感謝と応援が伝わるスピーチのポイントは、具体的なエピソードを交えることと、未来への期待を明るく語ることです。
「頑張ってください」だけでなく、「あなたならできる」という信頼を言葉にすることで、送られる側に勇気を与えられます。
【送られる側】謙虚さと決意を示す挨拶例文
壮行会で送られる側として挨拶する際は、これまでお世話になった感謝と、新しい挑戦への前向きな決意を伝えることが重要です。ここでは、シーン別にすぐに使える挨拶例文をご紹介します。
海外赴任の場合
「本日は、私のためにこのような壮行会を開いていただき、本当にありがとうございます。
この東京本社で働かせていただいた5年間は、私にとってかけがえのない時間でした。右も左も分からない新人だった私を、部長をはじめ、先輩方が丁寧に指導してくださいました。特に○○プロジェクトでは、多くの失敗をしながらも、皆様に支えていただき、なんとか成功に導くことができました。あの経験は、私の大きな財産です。
今回、シンガポール赴任という大役を任せていただき、正直、不安もあります。海外での勤務は初めてですし、言葉も文化も違う環境で、果たして自分がやっていけるのか、と。
しかし、この5年間で皆様から学んだこと、培った経験を糧に、精一杯頑張ってまいります。日本では当たり前だったことが通用しない場面も多々あると思いますが、柔軟に対応しながら、会社の代表として恥ずかしくない仕事をしてきたいと思います。
離れていても、皆様とのつながりを大切にしたいと思います。一時帰国の際は、ぜひまた集まっていただければ嬉しいです。
本当にありがとうございました。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。」
転勤・異動の場合
「皆様、本日はお忙しい中、このような場を設けていただき、誠にありがとうございます。
営業一部に配属されてから3年間、毎日が学びの連続でした。商談の進め方、お客様との関係構築、チームワークの大切さ、すべてこの部署で教えていただきました。
特に印象に残っているのは、入社2年目で担当した△△案件です。何度も壁にぶつかり、正直くじけそうになった時、課長や先輩方が『一緒に考えよう』と言ってくださったこと、今でも鮮明に覚えています。あの時の経験があったからこそ、今の自分があると思っています。
今回、大阪支社への異動が決まりました。新しい環境で、ここで培った経験を活かせるよう、また一から頑張ります。とはいえ、まだまだ未熟者ですので、大阪でも試行錯誤の日々になると思いますが、東京で学んだことを忘れず、成長していきたいと思います。
また出張や会議で東京に来ることもあると思いますので、その際はぜひお声がけください。
3年間、本当にありがとうございました。」


